落としモノ

 

 

何処かで落としてきた

 

大切だったモノ

 

どれだけ探しても

 

まったく見つからなくて

 

今まで歩いてきた道

 

君と行った想い出の場所

 

あちこち探し回ったけど

 

ヒントすら見当たらない

 

『本当に大切なら失くしたりしないでしょう?』

 

君の言葉に焦りを感じて

 

必死で探し回る

 

見つけられない

 

見当たらない

 

落とした覚えはまったくない

 

それでもひたすら探している

 

大切だったモノ

 

 

見つけられずに

 

肩を落として

 

家に帰ってきた

 

君の言葉が頭を過ぎる

 

君の哀しい顔が頭を過ぎる

 

君の笑顔が見たくて

 

アルバムを開く

 

君の笑顔が並んでる

 

最近ずっと見てなかった

 

君の楽しそうな顔

 

ページをめくるたびに

 

君への想いが募っていく

 

目から涙が流れていく

 

やっと涙が枯れた最後のページ

 

君から貰ったラブレターの返事

 

読み返してる

 

温かい言葉

 

最後の行に一言

 

『私も好きです』

 

あぁ

 

そうだった

 

僕もアイツが好きだった

 

大切なコトを忘れてた

 

思い出したらまた涙が溢れてきた

 

アルバムを閉じて

 

君の所に行こうと

 

立ち上がると

 

ポケットから何かが落ちてきた

 

涙で滲んだ視界に

 

光り輝く

 

小さな落としモノ

 

僕の探してた大切なモノ

 

 

探しモノは見つかった

 

大切なコトと一緒に

 

ずっと僕の中に隠れていた

 

心の奥深くの

 

引き出しに仕舞い込んで

 

丈夫な鍵までかけて

 

大切にし過ぎて

 

取り出せなくなってた

 

いつの間にか

 

仕舞ったことも忘れていた

 

君への想いも忘れていた

 

でも

 

ちゃんと思い出したから

 

君に渡しに行こう

 

僕の大切な想いと

 

小さなシルバーリング

 

 

 

 

 

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