夏の雨

 

季節外れの冷たい雨が

蝉の声を掻き消して

隠された赤い太陽が

誰にも知られず涙を流す

 

早く君に会いたくて

雨の中を走り風邪をひく

いつも微熱の君に笑われた

夏風邪はバカがひくんだと

 

雨が止んだら海に行きたいと

顔を赤くして笑った

叶わないのは誰よりも君が

一番知ってるはずなのに

 

計画だけ立てて

叶わないモノなんて

数え切れない程あった

今更ひとつぐらい増えたって

雨は降らないし止まない

 

スイカを一玉買ってきた

「食べきれないよ」って君は笑った

僕は意地で全部食べきった

甘いスイカと辛い現実を

 

君は笑いながら泣いた

「塩をかけすぎた」なんて見え透いた嘘

でもそういうことにしておいた

バカらしい現実をバカらしい嘘で覆い隠した

 

 

外はすっかり晴れて

蝉の声がまた響きだす

「止まない雨はない」なんてカッコつけて言う君

でも君の雨が止む時は 僕の雨が降る時

せめて君に降る雨が優しいモノでありますように

願うだけの僕は無力ですか?

 

海すら見れない君の部屋に

風鈴をつけてあげたことに深い意味はない

蝉の声だけじゃ寂しいかと思っただけ

「秋になっても鳴っていてください」なんて

願うだけの僕は無力ですか?

 

帰ろうとするといつも寂しそうな顔をする君

「明日もまた来るから」 もう何日も言ってるセリフ

少し拗ねた君に笑って手を振る

そんなことしか出来ない僕は無力ですか?

 

それでも明日も来るから

何時か雨が止むまで

何時か雨が降るまで

 

 

 

 

 

 

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